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【長崎の竹線香の話】


長崎のお墓参りには「竹線香」...。
それは今も昔も変わらない長崎の風景であり、これからも受け継がれるべき長崎の文化である。


国産線香の起源については諸説あるが、「西川如見」が1720年に著した「長崎夜話草」などによれば、
「五島一官」という人物が中国の福州から製造法を伝え、1667年頃に長崎で造り始めたとされる。
これは細い竹ひごに線香の生地を練りつけて固めた「竹芯香」であったようだ。
堺で線香の形状が発明され、一般に用いられるようになったのは17世紀後半から18世紀初期のことである。

長崎と竹線香のつながりは深い...。

竹線香はインドで生まれ中国、台湾などに伝わった。
江戸時代、日本で唯一海外に開かれていた長崎市には、多くの中国人・華僑の人々が暮らしていた。
最盛期には市内の人口の約6人に1人が華僑だったほどで、
「竹線香」が長崎で使用が広まったのはその頃からだと考えられる。

長崎には 日本で唯一の竹線香の製造元「草野商店」があった。

龍馬ゆかりの「亀山社中」のほど近く...。
「草野商店」の創業者は草野力松氏。力松氏は戦前、中国で雑貨の卸売業を営んでおり、戦後長崎へ帰郷。
昭和23年、独学で竹線香を作り始めたそうだ。

それから長崎の竹線香の関係は更に根強いものとなる...。

「竹線香」の原料は、芯となる“竹ひご”と“杉粉”、そして海藻を煮詰めて接着材代わりに使う“ふのり”のみ。
「草野商店」では福岡県・八女市で採れる杉の葉を、専用の水車で挽いて粉末状にするという。

230ミクロンというキメの細かな杉粉を、ふのりを塗った竹ひごにつけ、天日で乾燥。
同じ工程をもう一度繰り返して杉粉を二度づけし、ふのりで表面をコーティングする。
最後に持ち手を赤く色づけして仕上げる。

竹線香は持ち手側が竹ひごになっていることで、持ちやすく杉粉が直接手につくことがない。
また、野母崎などでは今でも墓前に砂を集め線香を砂山にさす風習が残っており、
そういった点で長崎に根付いたと考えられる。

「草野商店」が作る「萬年特撰竹線香」は丁寧に手作りされることで、時に生産が間に合わないことがあった。

そこで弊社の前身である「木原商店」では「日本香堂」へ依頼し、
「萬壽香」という中華式の竹線香を台湾で製造。PB商品として1975年頃販売を開始する。
ただ中華式の竹線香は細く、「萬年特撰竹線香」ほどの強度がない。
そこで1985年頃から並行して「萬年特撰竹線香」に太さや長さを合わせた「長崎特撰竹線香」の製造を行い、
長崎の文化の維持を図ることになる...。

「草野商店」が平成26年廃業された今、長崎の街で多く販売されている「竹線香」は台湾製の2種。

赤い袋に入った「萬壽香」を『赤』。
紫色の袋に入った太い竹線香「長崎特撰竹線香」を『白』と呼ぶ。



長崎でのお盆の風物詩...
だんだんと暮れゆく夏の夜、墓を照らす提灯の下で家族や親戚と賑やかに過ごす時間...。

竹線香を使って、やびや(ロケット花火)や爆竹に火をつける...。
遠くに聞こえる精霊流しのにぎやかな音...。
それが長崎独自の風習であり、同時に墓参りに欠かせない長崎の「竹線香」の話...。

紡屋 燈香 店主伝




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