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お香の楽しみ方

日本人のくらしに深く根ざしてきたお香。
時代の移ろいにも、人々は変わらずよい香りを求め続け、さまざまな工夫をほどこしながら、いろいろなかたちでじょうずに香りを取り入れてきました。
「お香」とひとくちに言っても、その種類や作り方や形、用いる場所などによって実にさまざまなです。
いかに高級なお香といえど、使い方を知らなかったり誤った使い方をしては、せっかくの香りも台無しになってしまいます。

ほんの少し気を配っていただくと、香りは驚くほど引き立ってくるものです。
よい香りを引き出す基本のコツは、お香の個性に合わせてつかいわけることと言えるでしょう。
さまざまなお香の種類と、そのじょうずな使い方の一例をご紹介します。
うまく使いこなして、くらしをお香で彩ってみませんか。




【香靄】直接火をつけるお香

◯一般のお線香
主にご家庭で仏事に使われる長さ10cm〜30cm程度のお線香は、宗派などによって?き方が異なりますが、一般的には「仏・法・僧(ぶっ・ぽう・そう)」の原理にしたがって、香炉のなかで1本ずつ三方に立てることが多いようです。
原料に伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)を多く用いた高級線香は、仏事だけでなく、お部屋で楽しむ香りとして、お客様のおもてなしなどにもお使いいただけます。

◯長いお線香
座禅香(ざぜんこう)とも言われていますが。禅堂で用いる70cm以上の長さのものもあり、大型の香炉に立てて使います。
法要の導師用として使用されることもあります。

◯短いお線香/スティック型のお香
花やフルーツ、スパイスの香りなど、バラエティ豊かな香りをお部屋で楽しむお香として、10cm未満のものもあります。
お好みの香炉や香皿に立ててお使いください。

◯コーン型のお香
短時間に強く香りをだすことができるうえ、灰を散らさないため、人気の高い、使いやすいお香です。
円錐の先端に点火し、そのまま香皿や灰のうえに置いてお使いいただきます。
専用の香立てに置いていただくと最下部までしっかり燃焼します。

◯渦巻き型のお香
長時間?き続けることができるので、広い空間や、空気の流れの多い玄関などでのご使用に適しています。
専用の香皿や香立を用いるほか、よく乾燥させた灰を香炉に敷きつめ、その上に直接のせて?いてもよいでしょう。
この方法なら、折れて短くなったお香も、最後までむだなく?くことができます。

◯焼香
香木などの天然香料を細かく刻んで調合したお香、仏前で、直接炭団(たどん)や炭火の上に薫じます。

◯抹香(まっこう)
非常に細かい粉末のお香で、古くは仏塔や仏像などに散布していました。
仏前で焼香の時に用いたり、長時間くゆらせておく時香盤(じこうばん)や密教用具の火舎(かしゃ)などにも使われます。


※時香盤(じこうばん)/香時番とは、香箱の灰の上に帯状にした抹香を設置し、その燃えていく位置で時刻を知りました。
灰をならした上に溝が彫られた木型を置き、その溝に抹香を入れ、木型を取り去ります。
すると灰の上に短冊形に折れ曲がった抹香の帯(線条)ができるので、それに点火して使いました。
途中に糸をかけたり、抹香の香りを変化させたりして、一定時間を知る工夫もされます。
※火舎(かしゃ)/香蛇(かじゃ)とは、仏事に用いるふた付きの香炉。かさ。


「空薫(そらだき)」ってなんだろう?
着物やお部屋にお香を焚きしめて、自由に香りを楽しむことを、古来「空薫」と表現されてきました。
むずかしい作法や道具にとらわれず、おおらかにいろいろな香りを楽しんで味わってみてください。
香りの世界をより広く知ることができるでしょう。




【香紋】間接的に熱を加えるお香

◯煉香(ねりこう)
香木など天然香料を粉末にして、古典的な製法のまま丸薬状に練りあげたもので、「源氏物語」などに登場する薫物(たきもの)を今に伝えるお香です。
深く重厚な香りで茶の湯の席で冬の香りとして好まれるなど、寒い季節に使われることが多いようです。

<お茶の席で使われる場合>
炉中の熱灰のそばに2粒ほど置かれます。
<ご家庭で用いる場合>
香炉や火鉢の熱灰の上にのせたり、小さなアルミカップに数粒を入れて、ストーブの上で熱して香らせたりします。
また電気式やガスライター式の香炉などで、手軽に楽しむことができます。

◯印香(いんこう)
抹香にした香料を練り合わせ、梅花やもみじのかたちに型抜きして乾かしたもの。
煉香と同じく、熱灰の上にのせて薫じます。浅く軽い香りで、夏の風炉中などで用いられます。


※風炉(ふろ)とは、茶道においてお湯を沸かす為の道具で、灰と炭で火入れし、そこへ釜を掛けてお湯を沸かします。
イメージとしては火鉢のような役割を持つものです。


◯香木
沈香と白檀(びゃくだん)の二種類が代表的です。沈香の中でも、伽羅(きゃら)は古くから品位の高い最上の香りとして珍重されてきました。
茶の湯の席では、主に風炉の時期に用います。
香舗などで、薄い角割にしたものをお求めになると扱いやすいでしょう。



香木の焚き方

〜お部屋に香りを漂わせて楽しんで頂く時〜
炭火の上で直接香木の小片を焚く方法(空薫)


<必要な道具>
香炉...香を聞くには、聞香炉(ききこうろ)と呼ばれる形のものが一番使いやすい。
湯呑みに似た形をしており、脚が三つついている。
    灰...  一般的な木灰でよい。
炭団...香炭団が売られているが、火移りの良い桜炭などでもよい。
香木...伽羅、沈香、白檀などをマッチ棒1cmほどに割ったもの。
火箸...炭団などを掴む箸


 一, 香炉の中央に、おこした炭団を置き、薄く炭をかぶせる。

 二, 熱灰の上に香木2、3本を直接のせる。
    炭団にかぶせる灰の厚さは、かすかに香気がゆらぐ程度にする。
    このたき方を空薫(そらだき)という。


〜ご自分で香りを楽しんで頂く時〜
銀葉(ぎんよう)・雲母板を用いたお香の?き方


<必要な道具>
香炉・灰・炭団・香木・火箸
銀用... 約2cm四方の薄い雲母板。
  香木を間接的に加熱するための道具。
銀用挟..銀用をつかむのに用いるピンセットのようなもの。
灰押え..灰形を整える扇形の用具。
香匙(こうさじ)..香木を扱うための細長い匙。


 一, 火箸で灰をよくやわらげ、香炉の中央に炭団をいけます。
  (香炭団は炭火の上やガスコンロによっておこしてください。)
  (灰はよく乾燥させておいてください。)

 二, 火箸で周辺より灰をかき上げます。

 三, 灰押えで軽く押えて灰の形を山形に整えます。

 四, 一本の火箸で灰の中央に火気を通す火窓(穴)を作ります。

 五, 銀葉挟で火窓の上に銀用をのせます。

 六, 香匙で香を銀葉の上にのせます。
     (火かげんは炭団の深さによって調節してください。
     香から煙が立つようでは火気が強すぎます。)



【香衣】その他のお香

◯塗香(ずこう)
もっとも粒子の細かいお香で、片栗粉のようになめらかです。
俗に清め香ともいわれるように、主に密教寺院などで、本尊に供えたり、読経や写経の際に手やからだに少量を塗って心身を清めたりするために使用します。

◯匂い香・掛香(かけこう)
王朝文学などに散見できるように、古来、衣装の防虫に使われてきました。
天然香料を刻んで調合し、袋に詰めて使用します。
現代ではくるまの中やのれんに吊るほか、身につけたり箪笥(たんす)に入れたりして衣服への移り香を楽しみます。
少し大きめのものは玄関先などに置いて、美しい形と香りを楽しむのもよいでしょう。
匂い袋は、たいていビニール製などの外袋に入れられていますが、はじめは香りが強いものですから、外袋のまま衣装箪笥のすみに置いてご使用ください。
また、中のお香だけをお求めいただき、自作の匂い袋に詰めるのも楽しいものです。

◯防虫香
古書や掛け軸、お人形などの虫よけ用に調合されたお香です。
香袋が品物に直接触れないよう、和紙などに包んで、箪笥や箱のすみへ置いてください。
また白檀の香りは防虫効果が高く、木を薄くスライスしたものを敷いて使うこともあります。
衣装用にお使いいただくこともできます。

お香を食べた?
平安時代のお香はすべて「唐物(からもの)でした。
その唐や隋では陳皮や麝香(じゃこう)を内服していたそうです。
内服しはじめて5日経つと体から香りが立ち、1ヵ月もすると、抱いた子供にまでその香りが移ったとか..。
念のため、現代の私たちが普段使うお香は食べられませんので、ご注意を。



お気に入りのお香を見つけてください。

香りはお好みで選んでいただくもので、お値段が高ければよいお香というものではありません。
まずは香舗などであれこれとお試しください。
直接火をつけるお香は、点火する前と後では香りが微妙に変化します。
香りの判定には、点火したお香を鼻先で2〜3回通過させてお試しください。
お香は、燃えているところから1mmほど下の部分が熱せられてよい香りを放つしくみになっていますから、鼻の前で止めて煙まで一緒に吸い込んでしまっては、せっかくの微妙な香りの違いがわからなくなってしまいます。
またお香は本来、残り香を楽しんでいただくものですから、焚き終えたあとの残り香を想像してお選びください。
さらに嗅覚は同じ香りには馴れて鈍感になるものですから、数種類の香りを選んでおき、ときどき替えながらお使いいただくことが、本来のお好みの香りを楽しんでいただくコツだと言えるでしょう。
一服のやすらぎを与えてくれるお香...
ふとしたときに気づく、ただよい来る香り、そのほのかな香りこそ、あなたが本当に探している香りなのかもしれませんね...。




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